みらい本舗
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経営者の皆様に役立つ健康(食生活)情報を集め、管理栄養士の視点でお話させて頂くコーナーです。
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【経営者のための健康情報Vol.135】
★ 旬産旬消 ★
しゅんさんしゅんしょう
【地産地消…産地に近いものを消費する】
生産地と距離が近いので、新鮮な農産物を美味しく頂けて、地元の農業を応援することにも繋がるというものです。食料自給率を上げ、かつ、エコに貢献できる日本になるには、「地産地消」にプラスして、「旬産旬消」も意識してみることが必要です。
【旬産旬消…旬のものを旬のうちに食す】
「旬産旬消」とは、旬の野菜や果物を旬の時期に食べる(消費する)という意味の言葉。
旬とは、ある食材が1年のうち出盛りで、新鮮でおいしく頂ける時期のこと。 |
旬のものを取り入れるメリットは、おいしさだけではありません。旬のものは、栄養価も体に吸収される率も高い。さらに、人間がその季節に必要とする栄養素をたっぷりと含んでいます。
■メリット1 旬の食材は栄養成分が豊富
■メリット2 流通量が多いのでお得に買える
■メリット3 環境にやさしい
※季節はずれに栽培するとハウス栽培などになるため、二酸化炭素排出量が多くなるなど、環境に負荷を与える
日本の自給率向上とエコのために実践したい消費行動でもあります。
旬の農産物というのは、温室などで手間ひまかけて作らなくても、露地栽培で光熱費や手間をあまりかけずに、自然の日照で、太陽をたっぷり浴びた美味しい農産物を大量に収穫することができます。つまり、燃料やガス・電気などの動力を使う量が少なくて済むので、
CO2を抑制し、環境に優しいのです。
そして、季節外れの野菜を温室で保護しながら育てるより、自然に任せて育てることが可能ですから、手間が少なくて済み、農作業の負担が軽減され、農家の人に優しいともいえます。
何よりも、旬のものは、栄養価が1番高くなる時期ですから、体に優しいのです。
大量に収穫できますから、お値段が安く、お財布に優しいのです。
私たち、消費者にとっても、メリットが大きい。
栄養価の面では、例えば、夏が旬のトマト。
含まれるカロチンの量は、冬場に比べ夏場は2倍になります。
冬が旬のホウレン草。含まれるビタミンCの量は夏場に比べて冬場はなんと4倍です。
次に、キュウリを1キロ生産する場合の生産投入エネルギー量をみてみます。
露地栽培(夏秋獲りキュウリ)の場合総エネルギー量996キロカロリーです。
内訳:肥料400、光熱動力200、農薬薬剤140、諸材料110、種苗70、
農機具60、園芸施設10キロカロリー。
これに対して、ハウス加温栽培(冬春獲りキュウリ)の場合は、
総エネルギー量5054キロカロリーに及びます。
内訳:光熱動力3840、肥料600、農薬薬剤150、園芸施設300、
農機具50、その他100キロカロリー。
キュウリは1年中売られており、値段もそう変わらないですが、本来の旬は夏です。
生産に費やす総エネルギー量は旬の時期に比べ、旬ではない時期は5倍以上になります。
キュウリが夏と勘違いして育つよう、温度を上げるために燃料を使うわけですが、そのために3840キロカロリーもの光熱動力を投入。旬の時期と比べて19倍ほどのCO2を排出していると考えることができます。
最近では、農家レストランや、産直野菜メニュー、旬の食材を使った料理など、国産や自然環境や旬にこだわった料理を提供する飲食店も増えています。
一方で、チェーン店など、いつ行っても同じメニュー、同じ味を揃える必要のあるところでは、旬ごとにメニューを変えたり、食材を変えるのは難しい所もあります。
例えば、美味しそうな写真の載ったファミリーレストランのメニュー。グリーンサラダの写真には、レタス、キュウリ、トマトといった定番野菜。これには「写真はイメージです。季節によって使われる野菜は異なります」というわけにはいかず、写真通りのサラダが提供される必要が出てきますね。ファーストフードもそうですね。このハンバーガーには、シャキシャキのレタスとトマト。
冬だからって、ホウレン草で代用するわけにはいかないのが現実でしょう。
日本には、昔から、旬のモノを利用して、1年をかけて大切に食べる生活の知恵がありました。
例えば、漬物は、旬の時期にたくさん穫れた野菜を捨てることなく、野菜が獲れない時期の貴重な栄養源として、保存されたもの。
保存食というのは、今のように、いつでも手に入ることがなかった、昔の人の知恵ですね。
大根は干して、切り干し大根にしたり、沢庵にする。
白菜は漬物にしたり、シイタケは干し椎茸に。
梅干を漬けてお弁当やおにぎりに入れ、殺菌作用に利用したり。
秋に大量に穫れたサツマイモは、乾燥芋に。
熟すのが速く、そのまま長期保存が難しい柿は、干し柿に。
手間を惜しまず作る、今流行の言葉で言えば、スローフードです。
現代では季節を問わず様々な野菜が生産され、また、技術の進歩により季節の果物や芋類を長期冷蔵保存できるようになり、1年を通して、手に入れることができます。
みなさんも身近なところから少しずつ、自給率向上と環境のために、行動をとってみませんか?
「地産地消」 産地の近いモノを買う! 産地の近いモノを食べる!
「旬産旬消」 旬のモノを買う! 旬のモノを食べる!
ぜひ、実践してみてください。
管理栄養士 吉岡美保
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